救急看護師だから描けるキャリアプラン
救急外来は他の診療科よりも学ぶことが多いので大変ですが、成長の機会が多い職場なのでスキルアップやキャリアアップを目指している人に向いています。ここでは救急外来だからできる、看護師のキャリアプランを紹介していきます。
救急看護認定看護師
看護師のキャリアアップ方法のひとつに「認定看護師」を取得するという手段があります。これは日本看護協会が策定した資格認定制度で、特定の看護分野で認定看護師の認定審査に合格し、熟練した看護スキルと知識を持っていることが認められた人にしか与えられていない資格です。150万人以上いる看護師のうち、救急看護認定看護師として登録しているのは全国でも1,000人ほどしかいません。
救急認定看護師に求められる知識と技術は「救急医療現場で患者さんの状態に沿った迅速な救命処置とトリアージの実施」「災害時における急性期の医療ニーズへの対応」「危機的状況にある患者さんやご家族への早期的介入と支援」などですが、CPA・重症外傷・意識障害・呼吸不全・循環不全・中毒・熱傷などから5例以上担当した実績も必要です。
また、救急看護認定看護師になるには、実務経験が5年以上(そのうち救急看護分野の実務経験は3年以上)必要で、日本看護協会が認定している6ヶ月の認定看護師教育課程を修了し、筆記試験による認定審査に合格しなければなりません。教育課程の講義は平日の日中に行われる場合もあるので職場の理解や協力がなければ勉強を続けることはできないでしょう。救急看護認定看護師を目指すなら、あらかじめ職場で支援が受けられるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
トリアージナース
患者さんの状態から緊急度を判断し、診察の優先順位を決めることを「トリアージ」といいますが、さまざまな状態の患者さんが運ばれてくる救急外来や災害時などに診察や治療、病院への搬送の順番を見極めるためには欠かせない役割です。
災害時でなくても夜間や土日など一般的な病院の診療外の時間に診察してほしいと救急外来を訪れる患者さんの数は近年増加しています。スタッフや処置室が限られている救急外来で一般の病院のように来院順に診察していては緊急度が高い患者さんの治療が間に合わなくなってしまう可能性がありますし、自力で来院してきた患者さんがすべて軽症だとは限らないため、適切に治療しより多くの患者さんを救うためにも診察順位をつける必要があります。そのため、近年は医師の代わりにトリアージができるトリアージナースに大きな注目が集まっています。
トリアージナースの専門資格はありませんが、救急看護認定看護師の資格があればトリアージができますし、日本救急看護学会のトリアージナース育成研修会、日本臨床救急医学会主催のJTASコースでもトリアージのスキルを身につけることもできます。これらの講座はおよそ2ヶ月に一度のペースで全国各地で開催されており、トリアージナースの役割だけでなく、問診やバイタルサインによる評価、身体診察などの批判的思考法のスキル、待ち時間中に症状が変化した場合の対応などが学べます。